そして幕は、静かに降りる。

全七章完全映像化を謳い、かつ毎章異なる監督が手がけるこの作品は、各々の想いで技で描かれながらも、まごうことなく一つの『空の境界』を紡いでいく。
単館公開でありながらも満員御礼、過去最高の動員数を記録。その熱は日本中へと伝播し、小説同様一大ムーブメントを巻き起こし、さらにDVDとなったそれらは空前絶後の支持をこの現世(うつしよ)に見せつけた。

昨年の12月1日、第一章『俯瞰風景』公開。
年の瀬12月29日、第二章『殺人考察(前)』公開。
明けて2月9日、第三章『痛覚残留』公開。
そして5月24日、第四章『伽藍の洞』公開。
さらに8月16日、第五章『矛盾螺旋』公開——この日、『空の境界』がはじめて「本」という形になり世に送り出された
コミックマーケットという地で、一参加者として同人サークル「竹箒」が一日だけ復活。
原作にてその存在がわずかに記されていた、未来視の少女との邂逅と先行きとを描いた書き下ろし小説『未来福音』を頒布、よりいっそう作品世界を深め、過去最大かつ最高のお祭り騒ぎが繰り広げられた。

かくして、いよいよ物語は終盤を迎える……

一つは、閉ざされた学院での秘められし事件の発端と経緯と捜索と解決、とその影で静かに、しかし強く熱く育てられた、妹の兄への愛ゆえの闘争(笑)。
もう一つは、彼と彼女が出逢ったその瞬間から、己の内に育ち始めた見知らぬ感情とその対処法、起源の覚醒あるいは根源を求めた哀しい魔術師の哀れな出来損ないの置き土産のしでかした人外魔境な殺戮の、切なく苦しく望まない後始末。

それらの先に待つのは果たして、彼と彼女の辿る永遠の未来への予感だろうか。

さあ、どんな景色でこの舞台は完結を迎えるのだろう。

世界の終わりを見届けるのは、誰? わたし? きみとぼく、俺、それとも、あなた。